「早く起きなさい」にさよなら。不登校さんが自然と朝起きられるようになる方法
不登校さんに多い「朝起きられない」
こんな状態の子ども、中には単なる悪習慣の場合もありますが、
不登校さんの場合、ある「異変」が起きていて、起きたくても起きられない理由がある場合があります。
その異変とは、「副腎疲労」です。
医学的に正確に言えば「HPS軸の機能障害」です。
この状態は、慢性的にストレスが続いた結果、ストレスに対抗する物質が体内で作れなくなってしまう状態です。
すると、朝起きられない、夜眠れない、夜中に起きてしまう、やる気・意欲の低下、不安や抑うつ、食欲不振、重度の疲労感などの症状が起きるんです。
アメリカではすでに副腎疲労について認知が広がり、お医者様による対処法も確立されています。
今回のブログでは、「副腎疲労」の状態から、どのように回復すればいいか、お話ししていきますね。
副腎疲労って何?
対処法に移る前に副腎疲労についてもう少し理解しておきましょう。
副腎とは、腎臓の上に乗っかった、小さなおにぎりのような形をした、ふたつの臓器です。
小さいながらも、脳からの指令によって、身体の反応を調整するさまざまなホルモンを出している重要な臓器なのです。
ストレスを受けると、脳と身体は連動して、「戦うか、逃げるか」のどちらかに備えた反応を起こします。
この「戦うか、逃げるか」の反応とは、身体を緊張させ、内臓よりも筋肉にたくさんの血液を送り、すぐに動ける体制を作るものです。
脳の指令をうけて、この状態を生み出すのが、副腎からでる、「カテコールアミン」や「コルチゾール」といったホルモンなのです。
通常の場合、ストレスのもとになる出来事が去ったと判断すると、副腎皮質から「もういりませんよ」と言う信号が脳へと戻っていき、コルチゾールは収まっていきます。
すると、身体は緊張をほどいて、ゆっくり休んだり、内臓は消化活動を再開できるようになるのです。
これをネガティブフィードバックと呼びます。
ところが、長期にわたってこのストレスが続くと、このネガティブフィードバック機能が働かなくなってしまいます。こうなると、コルチゾールが出っぱなしになったり、本来休むべき時に出てしまったり、すっかりでなくなってしまったりするのです。
コルチゾールの分泌が乱れると・・・
コルチゾールには、日内変動と言って、
一日の中で分泌量が変化する性質があります。
本来コルチゾールは、起きる直前から分泌が開始され、
起床後にピークとなります。
そして一日を通して、徐々に減ってきて、
夕方から夜にかけては朝の半分以下となります。
ところが、心理的な燃えつきや、慢性疲労、PTSDといった状況では、
コルチゾールが枯渇してしまって、
朝のコルチゾール分泌が少なくなってしまいます。
全くでなくなる場合もあります。
すると、朝が起きられなくなります。
朝起きられないと、
朝日に反応して分泌されるセロトニンが合成されにくくなり
セロトニンをもとに作られるメラトニンの合成も少なくなってしまいます。
すると、今度は夜に眠くならないのです。
こうして、夜元気、朝起きられないという、悪循環の完成です。
こういった症状がみられるお子さんは、長期間にわたってストレスを感じてきた結果、
身体は副腎疲労の状態にある可能性があるのです。
副腎疲労から回復するには
副腎疲労から回復するには、
三つのことが重要です。
①ストレス軽減
②しっかり休養
③副腎に必要な栄養素を取り入れる
①ストレスの軽減
今、あなたの子どもにとっての一番のストレスは何でしょうか。
まずはそれを取り除くことから始めましょう。
それが何かわからないときは、
もしかしたら、「学校へ行かなければいけないのに行けない」
と自分を責めていることが、ストレスかも知れません。
その場合は、「学校へ行かなくてもあなたはそのままでOK」というメッセージが
伝わるようにしていくと良いかもしれません。
どの場合でも、子どもの心に立ち直るための「エネルギーのたね」がしっかりとあると
ストレスから抜け出すことができます。
立ち直るための「エネルギーのたね」とは、
「たとえ何がダメでも、どんな自分でも、ここにただ生きているだけで価値がある」
「自分は人に頼ることができる。頼っていい。頼りにできる人がいる」
「自分は人の役に立つことができている」
この三つなのです。
もし、ストレスになりそうな要因を取り除いてもなかなか子どもが回復しない場合、
上記の三つの要素を子どもとの関係で見直してみてはいかがでしょうか。
「あなたは何ができなくても、どんな状態でも、生きているだけで価値ある存在だよ」
「あなたは人に頼っていい。頼ることは良いことだよ。」
「あなたがいてくれると助かる。ありがとう」
多くの書籍にある不登校解決の声掛けも、
本質はこの三つの「エネルギーのたね」の、いずれかを育てようとするものです。
アドラー心理学では、これを「共同体感覚」と呼んでいます。
もしトライしてみて、この声かけが難しい場合、ママの心に
上記三つのエネルギーのたね、共同体感覚が不足してしまっている可能性があります。
その場合は、まずはママが、
「自分はありのままでいい。十分よくやっている」
「人に頼っていい」
「私は十分人の役に立てている」
と自分に言ってあげてくださいね。
そうすれば子どもは非言語のメッセージで、
ママからエネルギーのたねを受け取ってくれますよ。
②しっかり休養
不登校の相談で、よく「見守りましょう」と言われるのは、
登校刺激を減らすことでストレスをなくし、
思う存分休養できるようにするためだと思われます。
この期間を持つことは、副腎疲労から回復するためには
とても重要な期間です。
たとえ、ゲームをしているときは元気に見えても、
それは「ゲームくらいしか、気を紛らせることができない」
と言う状態である可能性もあります。
お子さんの疲労の具合をしっかりと見極め、
登校刺激は一時的に一切お休みすることをお勧めいたします。
③消耗した栄養素を摂る
副腎疲労は、過度に心のエネルギーを使った結果なので、
エネルギーを補給する必要があります。
バランスの良いお食事を3食食べるのが基本のキ。
その上で、特に副腎疲労のとき消耗している栄養素を取り入れると
さらに回復が早まる可能性が高まります。
副腎疲労のときに消耗している栄養素とは
・タンパク質
・ビタミンC
・ビタミンB群
・DHA・EPA
・コエンザイムQ10
・マグネシウム
・亜鉛
などが一般的。
さらに体質によって、栄養素を加減すると回復は早まります。
ですが、子どもにこうしたものを食べさせたりサプリを勧めたとしても
親子の関係性が悪化していると
「お母さんは、また自分を学校へ戻そうとあれこれ命令してくる!」
と、感じてしまい、
却って子どものストレスが増大してしまう可能性があります。
これでは、薬が毒になってしまう状態。
せっかくの栄養も意味がありません。
ぜひ①②③の順に、一つずつステップを踏んで取り組むことをお勧めします。
まとめ
「朝起きられない」は副腎疲労の状態にみられる症状の一つです。
改善のためには、叱ることは逆効果。
副腎疲労から回復するためには
①ストレスを軽減する
②しっかり休養する
③消耗した栄養素を摂る
この順番で行うことで、
副腎疲労状態から抜け出し
逆に心も身体も不登校になる前よりも
強くたくましくなることができますよ。
それではまた!